秋田でのコンサートを終えた翌日、6月5日、こんどは京都へ向かいました。
今回は、自分たちのコンサートをするためではなく、京都・胡麻でのザイラー夫妻のコンサートを聴きに行くためです。
エルンスト・ザイラーさんと和子・ザイラーさんは、ご夫妻で農業をなさりながら、ピアノ・デュオの演奏活動をしておられます。20年ほどまえに、「かやぶき音楽堂」を構えられたころ、さかんにマスメディアにも取り上げられていましたから、ご存じのかたもおおいかと思います。
もともと、ドイツから日本へ居を移されたときから、かやぶき屋根の家に住んでおられたお二人が、その後、現在お住まいのかやぶき屋根の家に出会われ、そしてさらに時を経て、家のお隣に、ご縁あって、1784年に建立されたという福井の古寺の旧本堂を移築再建され、「かやぶき音楽堂」として、新たないのちをふきこまれたのでした。
私は10代から、お二人の演奏を「かやぶき音楽堂」でいつか聴いてみたい、と思いつづけておりましたので、胡麻駅を降りてから、音楽堂まで歩く間は、思いが叶うことに、どきどき・・どきどき・・でした。
ザイラーさんのユーモアあふれるトークと、お二人の手が交差したりしながら音楽が紡ぎだされる四手連弾の演奏は、とてもここちよく、また奥行きのあるものでした。
休憩時間には、お手製のケーキと、お二人をずっと応援しておられる大関酒造の「花泡香」が一人一人に配られ、またコンサート終了後には、お二人が丹精込めて作られたお米のおにぎりがふるまわれました。
演奏家にとって、みずからのコンサート空間をもつということは、できることなら実現させたい大きな夢の一つだと思いますが、お二人は、それも、ほんとうにとくべつな空間をもっていらっしゃること、そして、とても自然な生き方のなかで‘かたち’にされてきたこと、そうしたお二人の心豊かな人生に、深く感じ入りました。
「ピアニストの命は、手や指だけじゃなくて、心なんです。その心を育んでくれるのは豊かな自然です。」
というザイラーさんの言葉が、つよく心に響いています。
0 件のコメント:
コメントを投稿